”そうだ!” ”やってみよう!”

少年少女発明クラブ指導員の「つぶやき」

「スライムと私」

「私がスライムに出会ったのは、今から20数年前のことです。

 アメリカの中学、高校で使われている科学のテキストを翻訳していて、「スライム」が高分子の理解のために取りあげられていました。またNASAのサマースクールでも取りあげられていることを知りました。

 

 スライムが洗濯糊と硼砂というありふれた材料でできることに驚くと同時に、これを日本の子どもたちに広めたいと思いました。最初は小学校の児童を、さらに幼稚園や中学校や理科の実験教室でも行うようになりました。高校や大学で実施したこともあります。

 

 「スライム」の実験をいくつかの本や雑誌で紹介してきました。

 

 実験をはじめると「知ってる」という声があがることがあります。何を知っているかと聞くと、「おもしろい」、「おもちゃである」という声だけです。

 ひとつの「スライムの実験法」という「技術」だけが拡散していく結果となりました。その結果「なぜスライムになるのか」「そのためにはどのようにすれば良いのか」という、「不思議な現象」に挑戦する意欲を子供たちだけでなく指導者からも奪ってきてしまってきました。さらにその実験から学べる多くのことだけでなく、未知な事に挑戦するという科学的な心まで失わせてしまいました。

 

 子どもたちのスライムが固まらなかったときに「なぜ固まらないのだろう」という疑問が出てきます。そして、その原因を調べようと「硼砂溶液を加えたり」「洗濯糊を加えたり」します。そして答えとともに、答えを発見するためにどのように考えていけば良いかという手法を学ぶことができます。

 最近はスライムを作るだけではなく、「答えを発見」できる実験を加えています。

 

 科学は知識だけではないと思っています。知識は道具でしたないのです。科学とは、試すことによってはじめて見つかる疑問を解決するために、その理由を推論し、実証する方法を考えだし、実験によってそれを確認するという手続きも学びです。

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